患者の声

人間を丸ごととらえて診療してもらえるように医療制度、保険制度を改めてほしい

30代の前半、目と耳・手先と頭を同時に使う仕事を続け、腱鞘炎を発症した時に出会った鍼灸治療に、以来35年以上もお世話になり続けています。半年ほどの治療で症状は軽くなり、2~3年で日常的には気にならなくなりましたが、鍼灸から離れがたく定期的に治療を続けています。
 今でいう花粉症なのでしょうか、当時冷暖房のビルと外の出入りでくしゃみが激しく困っていたのですが、その症状もいつか忘れてしまいました。五十肩や腰痛・肩こりなど、時々には集中した治療もお願いしてきました。治療したあと半日ほど、身体が火照り、全身がボーッとして気も緩む時間が、2,3週間の疲れを忘れさせる感じがするのは、治療を始めた30代も、古稀を過ぎた今も変わりません。そこに経絡や脈を通して全身の状態を診て治療する鍼灸の特徴が現れているように感じています。
 病気と向き合うことに偏って、全身・人間と向き合うことが疎かになりがちな今日の西洋医学の歪みによって、身内二人の思わぬ死に見舞われたこともあり、できれば緩和治療まで東洋医学のお世話になれればいいなあと思っています。
 精神科に入院していて、食欲不振をうつによる拒食症と診断されて、無理矢理食事を詰め込まされ、重篤になってはじめて末期がんと分かった時、なぜもっと早く気がついてやれなかったのか、悔しい思いをしました。がんだと早く分かっていれば、対応にしようはあったし、あんなに無理強いしないで、もっと穏やかに過ごさせてあげたかったと思うのです。
 後期高齢者医療制度など論外ですが、少子化・高齢社会化という時代の変化のなかで、長年の課題である西洋医学と東洋医学の併用を実現し、人間を丸ごととらえて診療してもらえるように、医療制度、保険制度を改めてほしいと思います。(70歳代・男性)

鍼灸治療は本当の予防医学です。健康保険で気軽に受けられるように

私が鍼灸治療に巡り会ったのは、かれこれ20年も前になります。仕事も忙しく年齢的にも体の変わり目に差し掛かっていたその頃、頚腕症候群と腰痛で3ヶ月ほど休職を余儀なくされ、職場復帰をしてからも精神力で頑張って、ヨレヨレの体を何とかだまし、だまし仕事を続けていた時でした。たまたま参加した「健康まつり」の会場で、鍼灸師の先生と巡り会い、月に1~2回通院するようになりました。それ以来20年近く、今は月に2~3回自身の健康維持のために治療を続けています。おかげさまで、10数年前に痔の手術と、胃がんの内視鏡による摘出手術を受けていましたが、それ以外に病気らしい病気もせず、今日に至っています。
 私自身の体験から、鍼灸治療は免疫力をつけ、病気になりにくい体作り、早期治療に非常に有効な東洋医学の治療法の一つだと考えます。 現在では、欧米諸国でもその効果が認められ、予防医学として位置づけられてきているとも聞いております。
 しかし、我が国の健康保険制度では、6ほどの限られた病気以外は保険の適用が受けられず、しかも医師の同意書が必要なことで、病人にとっては、良いとわかっていてもつい面倒になってしますのではないでしょうか。疲れがたまってつらい未病状態の時に、気軽に治療が受けられると、病気にならずに済み、高額医療のお世話になる人も少なくなるのではないでしょうか。近年「年をとっても病気にならない体づくり」の為に歩きましょう、体操しましょうなどと、健康づくりに力を入れた呼びかけが多くなり、結構なことだと思いますが、健康づくりに有効な鍼灸治療を予防医学と位置づけ、希望する人は誰でも健康保険で気軽に受けられるようにしてほしいと切に希望します。(利根川 美代)

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